みみにっき

mimiが書く日記です。

夢みたいな話

3年前、私は六本木ヒルズで某深夜の生番組の仕事をしていた。その日も最終の上り線に乗って深夜の日比谷線六本木駅で降り、仕事に向かった。

ヒルズのメトロハットへ繋がる広い道を、ヒルズ方向に早足で歩いていたら、妙な黒いマスク(ガッチャマンみたい!って思った)に黒尽くめの大柄な女性?が、スカートを履いた小柄な女性と向こうから歩いてきた。

2人はもう人もまばらなのに改札のほうへ向かって行く。

奇妙な出で立ちだったので、欧米人とアジア系の外人さんのお友達同士かな、と思ったのだ。

いつもは気にしないで素通りするんだけど、六本木は結構外人さんが道に迷っていることが多くて、私も道案内してあげることが多いのだ。ヒルズで3年も働いてるから、道詳しいし、もしいつか私が相手と同じ立場になって…そうされたら嬉しいように、出来るだけ優しくしようと思っていた。ここにいるが異人さんはだいたい、ハートランドか六本木交差点に行きたい、もしくは日比谷線に乗りたいって思ってるのだ。

その時も妙に親切な気持ちが起こって「電車もうないですよ~(更に、深夜バスならまだ渋谷まで行けるよ)」って言ってあげようかと思って彼らに近付いたとき、マスクをしている人のほうと目が合った。

彼(彼女?)の瞳を見たとき、私は心臓が止まるかと思った。

今までの人生の中で見たことのない、輝いた瞳だった…。

世界中のどんな宝石でも、あんなにキラキラできないってぐらい。瞬きすると、キラキラがこぼれてきそうな程、輝いていて、それでいてとてつもなくセクシーな感じがした。ドキッとした。

あんな瞳を持っている人が、いるんだ…。

言いようのない美しい瞳を見たら声をかけられなくなって、妙に胸が熱くなった。ドキドキし続けている…。そして目を合わせたまますれ違った。声をかけるのは、やっぱりやめてしまった。もしかしたら、下り線はまだあるかもしれないし。

男だったのかな?女かな?でも、歩き方は男の人っぽい。

モデルとかやってる人かな。

スカートを履いた人のほうは、日本人のマネージャーっぽかったし…。

まぁ、日本人のお付きがいるなら、あの外人さんも大丈夫でしょ。って思って、仕事場へ歩みを戻した。

メトロハットを森タワー方面に上るエスカレーターに近付くと、あれ…?今の人のあのマスク…。そういえばいま、マイケルジャクソンって来日してたよね…?うそ!?どうする?戻って確認する?でも、そんなことして嫌がられたらどうしよう…(微妙にいい人ぶる)。

そんなことをぼんやり考えながら、どうする!?と思ってメトロハットの長いエスカレーターに足を運んだ。すると、エスカレーターの上からすれ違うように、なんとも言いようのない、ニヤニヤというか興奮気味な顔をした人たちが10人ぐらいわーーーーーっと走って降りてきて、携帯を片手に日比谷線へ繋がる廊下へ走って行った。

うわ!あの人達はきっとマイケルに気付いて、写メ撮りに行ったな…。

…って、あれ、ホントのホントに本物だったんだ!!!!!!

でも、確かにマイケルジャクソンだったら、あんな瞳しているかもしれない。と、妙に納得した。

そう納得がいったとき、足が震えた。やっぱり本物だったんだ…。

お忍びで深夜、街をうろついてみたのかも。

よく考えたら、護衛の人もいたかも。

その後ちゃんと仕事はしたけれど、あんまり覚えてないよ。

今まで見たいわゆる「美しいもの」の中で、もしかしたら一番美しかったかも知れない。あの瞳は。

六本木ヒルズのショールームに飾ってあるどこのブランドの宝石よりも、美術館に飾ってある宝石よりも、ずっと美しかった。というか比較にならない。あれは生きている宝石という感じ。

あまりにもネタっぽいからなかなか話せなかったけど、あの瞳の輝きは、そっくりさんとかではないだろうと思う。

そっくりさんだったら、あの変なマスクで口を隠さず、サングラスして、似ている自分をアピールするだろうから。

本当にびっくりした。

どんな人生を送ってきたら、あんな瞳になるのか。

瞳を囲うまぶたの女性らしさをまとった圧倒的な色気と、

不思議なマスクのアンバランス。

あの綺麗な瞳は何を見てきたら、あんなになるんだろう?

とにかくこの世のものとは思えない何かを感じた。

実際にコンサートに行ってあの瞳をもう一度確かめようって思ってたのに、亡くなってしまったのは本気で残念。

でも今でも、あのとき「日比谷線もうないですよ」って声をかけていたら、何を話したかなって考えたりする。

なんだか胸がいっぱいになる。あのとき恋をしてしまったのかもしれない。